車雑誌がクライアントの手前、書きたくても書けなかった

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日本でも数少ない戦前車乗りの為の掲示板。 
来場の記念にどうぞ、お気軽に書き込んでください。

                       


◆2004年2月8日◆

長〜い間探していた31年のModel A Victoria を発掘しました!! 3Wでも5Wでもない、5人乗車の希少ビクトリアです。 う、う、うれすぃ(涙)。 国内で探しても、3W、5W、セダン、デリバリは出てくるのですが、Vickyはぜんぜん出てきませんでした。 これを逃したらもう手に入らないかも(ありがちな旧車乗りの自分への最後の説得(笑))と思い、手塩にかけた23年T型を涙を呑んで手放しました(ちょっと淋しい・・・・)。 上の画像は下見に行った日に撮影したものです。 この画像を見た方は、「ファイバーか・・・」と思われたかもしれませんが、とんでもない! 4枚のフェンダー、ボンネットまで含めてオールスチールです! 剥れば、錆は出てくるし、パテもベッタリ入っていると思いますが、それでもベースとしては十分でしょう。 何と言っても「Vickyでヤル!」と決めていたので希少な車両が見つかっただけでラッキーで贅沢は言えません。
それでも、頭を抱えてしまったのは、下回りです。 下画像はフロントの足回りですが、アッパー・ステアリング・アームを見て驚きました。 これまた珍しい50年代風なEarly Ford Hoopと言われるとってもチャチなアッパーアームがついていました。丸棒を炙って曲げ、その先に鉄製のカラーを溶接し、そこにタイロットエンドがネジ止めされています(剛性感無し)。 また、スピンドルは42-48年のフォード純正の俗に言う「キャンディ・スティック=千歳あめ」と言われるキャスティングのナックルアームを炙ってまげて使用しています・・・・コワ〜。 Iビームがぶった切り溶接でドロップされていなかったのは不幸中の幸い? そのくせディスクはベンチレーテッドと、凝っているのかなんなのか良く分からないフロント周りです。 比較的綺麗に見えるのは前のオーナーがチッピング塗料を塗っているからです。



しかし、まぁ、このあたりは部品を買って交換すれば何とかなるでしょう。 しかし、横に回ってみると・・・フレームに大穴、そしてそのフレームの下が膨らんでいるのがわかるでしょうか? フレームは後ろ半分だけがBoxingされており、ステアリング・ギア・ボックスから前はC形状のままです。 中途半端な強化をしたせいで、この画像のあたりに応力が集中し、フレームが天然でジャロってます(終了・・・・・・・(人)ナム〜)。 現状はコーベアのギアボックスがついていますが、過去数度、仕様変更をおこなった際にベガ用かムスタング用から付け替えられた跡があり、そこから歪んでいます・・・・おい、おい、穴ぐらい溶接して埋めとけよぉ (泣)



半ば、脱力しながら後ろ周りを見ると、ここも「爽やかに終了」していました。 70年代アメリカの「やっつけで作った足回りって、どんなのですか?」って、聞かれたら、「こんなんです!」と見本にしたいようなやっつけっぷりです。 リアの車高を下げるために、本来Y字であるスゥエイバーがペラシャにぶつかり邪魔なので、それを真っ二つに切断、それぞれを左右別々にフレームに溶接しています。 そして、リアの横置きリーフを炙って延ばして車高を下げ、ホーシング側にシャックルの受けを溶接。 それでも、キックアップもCイングもしていないノーマル形状のフレームでは車高を下げるのにも限界があり、現状の状態でほとんどストロークしていません。 エンジンがシボレーで、ホーシングも70年代の「安上がり改造」の定番であるコルベットかベビカマのホーシング(幅が狭いのでナローする必要がなく多く流用された)です。 奇遇ですが、私が買った2台の戦前車は、1台目のT型が66年コルベットエンジン、 2台目のビクトリアが78年コルベットエンジンということになります。 しかし、先のT型は社外の完璧に強化された角鋼管のフレームにきちんとしたラディアスロッドのリンクがつけられ、社外強化リーフ(綺麗なクロームメッキ)で、さすが「元ショーカー」の美しいフレームワークでしたし、走りもこの手の車としてはまったく文句ありませんでした。 結果として、この車の動かなくなる原因となったのは、このホーシングの構造にあり、一目みて、左右のフェンダーからのタイヤのはみ出し量が違います。 左は納まっていますが、右はタイヤが5センチ以上もはみ出している!? 左右サイズ違いのタイヤか? ホイールか?と思ったのですが、共に同サイズでした。 後にフレーム位置で中心を出し、みち糸を張ってみるとホーシング自体が右に寄っていることが判明、アームも曲がっていました・・・・・・・(人)ナム〜。



次にエンジンを見てみます。ボンネットを開いた瞬間に、ありえない位置にブレーキのマスターが・・・・ブースター付きなのは嬉しいけど、床下に収めたいですよねぇ。 あとヤベーと思ったのが、エンジンマウントです。 珍しい〜フロントマウント、前後の位置的にはウォーターポンプの位置ぐらいにエンジンマウントが配置されています。 う〜ん、これってマニホールドの関係で? それとも弱いフレームを守るためにアクスルに近い位置にした? 純正エンジンのマウントがここだった? この手の車の「昔の改造手法」なのかもしれません。 キャブもヘッドカバーも「置いてあるだけ」、デスビが無いよ〜、オルタも無いよ〜、ゲゲ、セルも無いじゃん(泣) Hedersもついておらず、トホホなステンレスのカバー・・・・Hollyのヘッドカバーがダサダサです。 エンジン番号から調べたら78年コルベットの「やる気の無い2ボルトメインの350」でした。 10年不動なので、仮に火が入ったとしても、バルブスプリングは高回転で戻ってこないかも。 オーバーホールする価値があるかどうか? いづれにしろ、ちょっといじってみて火が入ってみたら考えます。 調子悪かったら捨てたほうがいいかも・・・・・・(人)ナム〜。


それでも価格が安かった為、購入を決意!!

私は、もともと「エンジン不動で足回り破損、ラジエタ大穴、フレームもおそらくダメだろう。」ということを知っている上での購入なので、問題はありませんが、(いや、そんな状態と分かっていても買うことに問題が・・・?(笑))、この車両、仮にエンジンがかかって、リーフの曲がりを直し、デフを元の位置にもどしてまっすぐ走ったら、そのまま店頭にならんでいるかもしれません。 恐ろしいことにこのVickyのような改造を受けている車両でも、単に「実働」というだけで数百万円の値段が提示されている車両がいっぱい実在します。 高価なローンを組んで、欲しかった車を手に入れ、意気揚々とお店を後にしたのはいいけれど、その後、あまりのハンドリングの悪さや故障の多さ、異音や振動で怖くてスピードが出せない、ブレーキが全然利かない、ハンドル切っても曲がらない等に悩まされているオーナーも多いと思います。 

そしていよいよヤバイ、壊れた!(ドナーカーのビクトリアのような状態)になった時、オーナーは2つの選択を迫られます。 @車両を売却又は処分する。 A修理する。 です。 ここでは、@の話しをしてもしょうがないので、Aを選んだとします。 その時に、またいくつかの選択があります。@壊れたところを壊れる前の状態に復帰させる。 Aどこが悪いのか調べつくして根治する。 もちろんかかる費用は@<Aなのは言うまでもない・・・・と思われるかもしれませんが、はたしてそうでしょうか?

程度にもよりますが、私の友人にはやはり現在までの足回りの修理費だけですでに●00万円を投資しています。 ホーシングを替え、ラジアスロッドから4バーへ作り直し、ブレーキはラインからキャリパ、ローターまで交換、効かないシングルマスターのブレーキは2系統のデュアルマスターへ交換、使えなくなったブレーキペダルやリンケージもつくりなおし、ヘタった前後のリーフ&ショックも交換、ガタの来たキングピンも交換してスピンドルも替えました。 現在は交換していませんが、バンプステアのステアリングと年代物のギアボックスも不安です。 そして、ある程度スピードが出せるようになると、フレームがヘタリ出しました。 

フレームオフしてボクシング処理しましたが、純正フレームでは車高を下げるもの限界がある為、追加作業でリアのフレームをそっくりキックアップするために作り直しました。(すべて、購入したお店を通して作業。) ここまで行くのならいくら「味」があるとは言え、オリジナルの70年前のフレームに固執する意味があるのでしょうか?? それに、強度、安全性、耐久性の面でもおおいに問題がのこります。 中には、70年前のフレームを強化しても「意味が無い」という厳しい意見のビルダーの方もいます。 ただ、これは車の使い方と目指すスタイルにもよるでしょう。 ワイルドなグリーサー・スタイルとか、ヤング・ロッダー(スタイル)という表現が昨今よく使われますが・・・・・う〜ん、あまり好きになれません。 だって、思い切り踏めないし、ヤングじゃないし(笑) そこで、今回、私がどのようなストリート・ロッドを作ろうとしているのか? 明らかにする必要があると思いますので、ここに明確にします。


◆目指す使用状況
@雰囲気を損なわない範囲で十分に安全であること(足回り、ボディ)
@下駄がわりに乗れること (始動性、レスポンス)
A余裕ある130キロ巡航ができること (駆動系、ブレーキ、冷却系)
B1日500キロ程度の長距離走行が無理なくできること(耐久性、冷却系)
C乗っていて疲れないこと (ロワードした上での最低限の乗り心地確保、振動、音)
D夏場の渋滞でも乗れること (冷却系)
Eメンテナンスフリーに近づけること (各所に高信頼部品、電装の引きなおし)

◆目指すスタイル
外見ノーマル、フルフェンダーでベタベタ(なるべくね!)
でも、ハイテックはヤダ、IFSもヤダ、
エアバックもヤダ!  




「おい、おい、随分と都合のいい仕様だな!」 と思われるかもしれませんが、少なくとも使用状況に関しては私のT型は全てクリアしていました。 何と言っても私のファーストカーは330で(爆)、それは、たとえ今後フェラーリを買おうが、Viperを買おうが(買えないけど・・)330がぶっ壊れるまで変わりません。 なので、今まではセカンドカーのT型には夕食の買い物から、長距離のツーリングまで330以上の頻度で働いてもらいました。 さらに、クラッシックカーフェスティバルでは、へこたれる旧車が多い中で3時間半の「人が歩く速度」のパレードで最古車として (というか、絵ヅラ的に選ばれたような・・・・)先導車を難なくつとめあげました。また、週末の都内ではトイレットペーパーとかネギやら大根やらが飛び出したT型がよく目撃されたそうです(笑)。 でも明治屋や紀伊国屋の駐車場係りのおじさんは、買い物に行くといつも一番駐車しやすい、広いところに案内してくれます。 機械式にぶち込まれたことは一度も無し、当然といえば当然?かもしれませんが。 激太のリアタイヤと車高のバランスも最高でした。 あぁ、いい車だったなぁ。
ただ、23Tはさすがに真夏と真冬はつらかった(笑)。 T型は某自動車販売会社のエアコン付ショールームでなんと、20年間展示されていたという車両でした。 錆、傷なくまさに現地のショーカーたる堂々とした風格があるすばらしい車両でした。 しかし、エンジンはやはり調子が悪く、ラジエタもダメ、ポイントの点火系もダメ、ジェネレータダメ、キャブダメ(トンネルラムのデュアルキャブ!!)、ステアリングダメ(アッカーマン配置がダメな為)、ノンアシストのブレーキは全く利かずという状況でした。 エンジンをOHし、点火系をデスビも含めMSD製へ交換(デスビが当たるので、ボディを3センチ後ろに移動)、ラジエタを6層に張替え、機械ファンを電動ファンに、ブレーキはシングルマスターからブースターつきのデュアルへ交換したものを床下に仕込みました。 デュアルプレーンのマニホールドにエデルブロックのキャブ、ナックルアームを直し、各部のナットを全てナイロンロックに換え、IC内臓のオルタに交換、ヒューズは全てガラス管から板ヒューズに交換し配線も全て引きなおし、直結だった回路にはすべてリレーを入れ、ヒビの入ったフューエルラインやブレーキラインもすべてステン管とアールズで引きなおしました。 春夏秋冬エンジンは全くぐずらず、いつでもセル一発で、真夏の渋滞も全く問題なく、回りの人に「すごくメンテナンスが大変なんだろう・・・」と思われるのが申し訳ないほど快適でした。 


さて、Vickyに話を戻すと、目指スタイルは、ツルピカの「白人の老夫婦」が乗っていそうなフルフェンダーのストリートロッド。 しかし、ハイテク風味には極力しないで、自分なりのレトロ風味をプラスするつもりです。 「これは、アメリカの60年代、70年代風の・・・・云々」とうるさいオタは放っておいて、"日本人が見たときのかっこよさ"を優先します。 ここが、センスの見せ所なので慎重に考え中です。 アメリカのフルコピーばっかりじゃつまらないので、なんとか自分のカラーを出したいですね。 なんか、外見だけ見ると既に完璧に仕上がってそうに見えるのが困ります(笑)


さて、妄想はこのくらいにして(笑)、目の前の現実と向き合いましょう・・・・さて、どこから手をつけるか?

どうなる Victoria ?

Aへ続く