車雑誌がクライアントの手前、書きたくても書けなかった

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日本でも数少ない戦前車乗りの為の掲示板。 
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フレームを輸入する

ことにしました。 理由は、現状のフレームの程度が悪く修正してBoxingしても不安が残ること、足回りを大幅に改造する予定があり、ブラケット等の寸法出しが面倒なこと、そしてやはり、長く安心して乗りたいことが理由です。 あとは、やはり価格の面で国内でスクラッチビルドするよりも、完成品を輸入したほうが、結果的に安く済むとの自分なりの計算があります。 簡単に3つの選択肢について、項目別にメリット、デメリットを考えてみると・・・・・ 

@現状のフレームを修理して使用する場合
費用: 安い(修正、Boxing)
強度: 弱い(70年前のフレームじゃ・・・)
改造: 困難(足回りの改造は、結構大変そう・・・)
時間: 普通(状況による)


Aゼロからスクラッチビルドする場合
費用: 安い(自作の場合)、製作依頼の場合は「とても高い」
強度: 強い(高度な知識がある場合)、無い場合は重くて弱い
改造: 容易(高度な知識がある場合)、無い場合は危険・・・・
時間: 長い(自作の場合)、製作依頼の場合でも2-3ヶ月か?


B輸入した新しいフレームを使用する場合
費用: ?? 送料が高いがベースはリーズナブル
強度: 強い Boxingしてあるものを買えばそれなりに合格点でしょう
改造: 容易 既製品で修理、交換、アップグレードができるのは嬉しい
時間: 速い しかし、アッセンブリーでオプション依頼すると数ヶ月かかることも

この中から、私はBをえらびました。 自分が米国のStreet Rod市場について、人一倍詳しいということはありませんが、およそ15年間、何かしらの米国旧車を乗り継ぎ、修理、改造し、米国に数年住んで、解体屋を数十件回り、現在も年に数回は必ず米国に行き、現地のStreet Rod系の月刊誌を3誌定期購読し、趣味は車一辺倒で、欧州車逝ってよし(謎)というバックグラウンドの人間の考えでは、Bが一番得策だと判断しました。

一般の日本人の方が、ひとつ「大きく見誤っている」部分があると思うのは、「競争の無いところに優れた製品は生まれない」ということです。 米国では1920年代から1930年代前半くらいまでのStreet Rodは非常に人気があり、無数のフレーム、部品メーカーが乱立しています。 日本では、「小売向けに車のフレーム製造を専業にしている会社」ということ自体がありえません(笑)。 加えて、米国では90年代後半にバブルがあり、日本のバブル期と同様に、憧れであったそれらの車の購入が促進された経緯があります。 メーカーはその需要に答えるべく、設備の増強に投資を行い、競合に負けじと品質の向上と低価格に押さえる努力を行いました。 結果、バブルがパじけた今も、その品質は高い水準で保たれており、価格面に関しても経済がデフレであることから上昇しているようなことはありません。 

また、産業全体では、いままで、「コピー品」、「安かろう悪かろう」の代名詞であった中国製、台湾製の製品が急速に品質を上げ国際競争力をつけた今、米国も生き残りをかけた「高品質で低価格」の体質へ転換しています。 最近、いろいろな改造部品を米国から輸入しても、一時程の「最初から壊れてる」、「サビで真っ赤」、「穴の位置づれてる」みたいのはだいぶ減りました(笑)。 あと、脅威的にMSDみたいな電子部品の故障が少なくなりましたね〜。 私は330にダコタ・デジタルをフルインストールしていますが、絶対直ぐに壊れるだろうなぁ・・・と、半ばあきらめながら(笑)組み込んだのですが、1年半たった今でも、まったく壊れません。めちゃ正確です。 正直、驚きました。

説明が長くなりましたが、私が、フレームの輸入に踏み切ったのは、メーカー間で競争のある米国では、「値段に見合った以上の品質でないと生き残れない」という、ある意味日本よりもドラスティックなところがあり、支払った金額に対する見返りを十分に期待できるのではないか? との理由によるものです。 おまけに、円高です!! 自分的にはまさに「機は熟した」という感じです。
つまんない能書きはこのくらいにして(笑)、それら、20ー30年代のFordにどのようなタイプの「アフターマーケットのフレーム」が存在するのか見てみましょう。
    
23年のT型フォードの社外フレームです。 Ford戦前車の中では、純正ボディもフレームも使わない「T化け(笑)」が主流なT型ならではのメーカー数の多さ、部品の充実度合いです。 非常に維持が楽で部品も入手しやすいので、初心者の方にもお奨めです。 *画像はTP製&元管理人の23T

1923 T Stage III Chassis

現地価格: 3195ドル
23年あたりとちがって、画像のようにフルフェンダーも多いこの年式、画像のフレームもサイドステップの為のブレースがついています。 車高を下げるために、フレーム後半をキックアップ、Cイングする場合もあります。 *画像はTP製

1926-1927 T Stage III Chassis

現地価格: 4200ドル
グリルを変えられてしまうと、ぱっと見、見分けがつかなくなってしまうのが、28-34年あたりの年式。 厳密には各部の寸法は微妙に違います。 28-31年のフレームはその後の年式に比べてもまだ、直線基調です。 *画像は人気のあるTCI製で、フロントを独立(IFS)にしてあるもの&管理人のVicky

1928-1931 A Stage III Chassis
現地価格: 6500ドル

以前の年式に対して、曲線基調で美しいフレームの32年型。 一番人気のあると思われる年式で、Deuceと呼ばれるのはこの年式のみ。 日本でもアメリカングラフィティの影響か? 最初にイメージされるのはこの年式。 (ただし、アメグラは5W、画像は3WのHi Boy) *センターセクションまで入ったTCI製

1932 Stage III Chassis Kit

現地価格: 7695ドル
グリルシェルがスラントした33-34年型。 自分のイメージはフルフェンダーでわりと高年齢の方が磨き倒してショーにやってくるイメージ? *画像はIFSインストールのTCI製

1933-34 Stage III Chassis Kit

現地価格: 7695ドル
            
上の価格は、フレーム単体では無く、写真に写っているもの、「ほぼ、全部つけて」の価格です。 これを初めて見た方は、「信じられない」と思われるかもしれません。 23−27年型のフレームの価格が安いのは、他が高価オプションのIFS仕様で、更にたまたま引用したページの価格が、ステージVと書きながらも、メッキやIFS仕様でなく、前後の足回りもヘアピン、ラジアスロッド仕様で、廉価な内製のフレームを作っているTotalPerfomance社のものの為です。 シンプルなT型のフレームでもやはり前後を4Bar、IFS、ステンレスアーム等にすると5000ドル前後の価格になります。 

いづれにしろ、フレーム単体では、もちろんピンキリではありますが、下は2000ドル台からまぁまぁなもので5000ドルくらいまでいろいろな価格帯があります。 (もちろん、現地には変態級のマニアがいて、完成車が数十万ドル、時には著名ビルダーの作品で100万ドルといった車も実在します。 しかし、ここでは、あくまで、われわれ一般人が買える範囲での話しをしていきます。) そして、足回りのメニューに関しても、これでもか!!と思うほどさまざまなオプションが用意されています。 

仮に資金無制限でVISAなどのクレジットカード1枚あれば、エンジンの細かい仕様から、ミッションのギア比を指定し、ボディ(オール・スチールでもファイバーでも)まで含めて、車1台が組み立てられる部品ををインターネット上のオンラインショッピングで買うことができます(笑)。 このあたりの車に乗る方は、もっと賢く利用するべきです。 曲がった部品を一生懸命板金して1ヶ月預けて直してもらい20万円払ったら、よく見たら新品が200ドルで売っており、3日で航空便でくるものだったというケースも無いとはいえません。 いづれにしろ、もっとも確実に安く早く仕上げる方法を「競争のない言い値の国内」と、「競争のある比較できる現地」とで、十分に検討するべきです。


つまり、我々は、日本国内で、ヘタったフレームや、アーム、ホーシング、足回りの部品等、
「無くて困る」
のですが、現地では無数にあるメーカーとオプションをどのように選び、組み合わせればいいのか
「多すぎて困る」
のです。

次回は、実際にこれらの、フレームを注文すると仮定して、フレーム選びから、足回りのメニューなどを考えてみます。



Bへ続く